「選手間投票のMVP」と、11月に決まるMVPは何が違うのか
大谷翔平選手が逃したのは、スポーティング・ニュースが選手の投票で選ぶ年間最優秀選手です。一般に「MVP」と呼ばれるのは、11月に記者の投票で決まる別の賞。誰が選び、何を数えるのかを並べると、同じ年でも受賞者が分かれる理由が見えてきます。
先に結論
- 大谷が逃したのは米スポーツ紙「スポーティング・ニュース」の年間最優秀選手。約260人の現役選手の投票で、両リーグから1人だけを選ぶ
- 一般に「MVP」と呼ぶのは全米野球記者協会(BBWAA)の賞。各リーグ30人の記者が10位まで順位を付けて点数を合計し、発表は11月。今年の結果はまだ出ていない
- 選ぶ人も数え方も違うので、結果は割れる。2025年は記者のア・リーグMVPがジャッジ、選手会の選手投票の年間最優秀選手はローリーだった
「MVP」と呼ばれる賞は、ひとつではない
大リーグの年間の個人賞には、大リーグ機構ではなく外の団体が主催するものが多くあります。選手を選ぶ賞でよく知られているのは3つ。全米野球記者協会(BBWAA)の「最優秀選手(MVP)」、スポーツ紙スポーティング・ニュースの「年間最優秀選手」、そして選手会(MLBPA)の「Players Choice Awards」です。日本のニュースでは後の2つが「選手間投票のMVP」と呼ばれることがありますが、主催も選ぶ人も違う、別々の賞です。
今回の賞: 約260人の選手が、両リーグから1人を選ぶ
スポーティング・ニュースは1925年にオールスターチームを選び始め、1936年に選手・監督・幹部の個人賞を加えました。今も選手の賞は選手が、監督の賞は監督が、幹部の賞は幹部が選ぶ「同業者の投票」です。今年は約260人の選手と18人の幹部が投票しました。年間最優秀選手はア・リーグとナ・リーグを分けず、大リーグ全体で1人だけ。今年はカブスのクローアームストロング外野手が、45本塁打・41盗塁でシーズン40本塁打・40盗塁を達成し、選ばれました。
11月のMVP: 各リーグ30人の記者が、10位まで順位を付ける
BBWAAのMVPは1931年に始まり、ア・リーグとナ・リーグで1人ずつ選びます。投票するのは、大リーグの球団がある都市ごとに2人ずつ選ばれた記者で、各リーグ30人。1人が1位から10位までの10人を必ず書き、1位は14点、2位から10位は9・8・7・6・5・4・3・2・1点として合計します。投票はポストシーズンが始まる前に締め切られ、数えるのはレギュラーシーズンの成績だけ。上位3人が発表のおよそ1週間前に「最終候補」として公表され、受賞者は11月に発表されます。
「価値」の決め方は、投票する人に任されている
BBWAAの投票用紙には「最も価値がある、の明確な定義はない」と書かれています。判断の目安は1931年の最初の投票用紙から変わらず、チームにとっての実際の価値(攻撃と守備の力)、出場した試合数、人柄や献身、過去の受賞者も選べること、同じチームから何人選んでもよいこと。プレーオフに進んだチームの選手である必要はなく、投手も指名打者も対象です。選手の投票も記者の投票も、何を「価値」と見るかは1人ひとりに任されているので、選ぶ人が変われば結果も変わりえます。
2025年は、記者と選手で答えが分かれた
選手会の Players Choice Awards は1992年に始まり、現役の大リーグ選手だけが投票します。2025年、選手が選んだ年間最優秀選手はマリナーズのローリー捕手でした。一方、記者が選んだア・リーグMVPはヤンキースのジャッジ外野手。1位票はジャッジ17、ローリー13で、2019年以来の接戦でした。ナ・リーグも、記者のMVPは満票で大谷でしたが、選手会のナ・リーグ最優秀選手はフィリーズのシュワーバー外野手です。同じシーズンを見ても、誰が選ぶかで答えは割れます。
大谷の「MVP」は、11月にもう一度決まる
今回逃したのはスポーティング・ニュースの賞で、記者が選ぶ2026年のMVPはまだ発表されていません。投票はポストシーズン前にすでに締め切られており、ワールドシリーズでの活躍は数に入りません。大谷は記者投票のMVPを2021年と2023年にア・リーグで、2024年と2025年にナ・リーグで受けており、2025年が4度目でした。ニュースで「MVP」と見たら、誰が選んだ賞なのかを見ると、その数字の重さが分かります。
出典
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